すべての絵画がひとつの美術館にあるならば・・・
有名な絵画は無数にありますが、世界中のいろんな美術館に散らばっているため、一度にすべてをみることはできません。
すべて見てまわれるほどのお金と時間があればいいのですが、残念ながら両方揃うことは難しい。
そこで紙面上で有名な美術館巡りをしてしまおう!というのが本書の企画になります。
コロナ禍でなかなか外出できない今、気分転換にもなるのでオススメです。
世界10大美術館
世界中には名だたる美術館があります。一日かけても観きれないほどの芸術品を所有するルーブル美術館をはじめ、日本人にも人気の美術館もきっとあることでしょう。
本書では、以下の美術館を10大美術館としてピックアップし、各美術館が所有する自慢の絵画について解説付きで鑑賞できます。
また、作品だけでなく美術館自体についても記述があり、読み手を飽きさせません。
- ルーブル美術館(フランス・パリ)
- メトロポリタン美術館(アメリカ・ニューヨーク)
- エルミタージュ美術館(ロシア・サンクトペテルブルク)
- オルセー美術館(フランス・パリ)
- ロンドン・ナショナル・ギャラリー(イギリス・ロンドン)
- プラド美術館(スペイン・マドリード)
- ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
- ワシントン・ナショナル・ギャラリー(アメリカ・ワシントン)
- ヴァチカン美術館(ヴァチカン市国・ヴァチカン)
- ウィーン美術史美術館(オーストリア・ウィーン)
ここではあの「モナ・リザ」を所有するルーブル美術館について、少し紹介しましょう。
ルーブルの秘宝をナチスから守れ!
来館者数は年間972万人。これは神奈川県の総人口よりも多い数字です。なんとも恐るべき来館者数ですが、超有名な芸術品ばかり集まっているので納得です。
そんなルーブル美術館ですが、かつてある盗人を恐れました。それがヒトラー率いるナチスです。
ナチスのパリ侵攻に備えて、ルーブル美術館の館員たちが、モナ・リザをはじめとする主要絵画4000点の脱出劇を企てました。
1939年9月、まる二日かけて、4000点もの絵画をトラックに詰め込みました。それを各地の美術館に分割して脱出させたのです。
なかでも困難を極めたのが「カナの婚礼」でした。なぜならば、縦7m、横10mの巨大な絵画なので、運搬がすごく大変・・・
それでも巻き上げた状態で何とか運搬し、ナチスの手から守ることができました。「何としてもルーブルの秘宝は守る」
彼らの勇敢な行動によって、終戦後、散らばっていた名画たちはルーブル美術館へ戻ってくることができました。
民間の力を集結させたメトロポリタン美術館
次にアメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン美術館を紹介します。
ヨーロッパの美術館は、官が威信をかけて建てることが多いのですが、メトロポリタン美術館は、民間の「寄贈」を中心に成り立っている美術館です。
はじめは展示品が1点もない状態から始まりました。開業当初はわずかに180点ほどの作品数で、人もなかなか集まってくれません。
そんな状態から変わったのが、ある人物からの寄付でした。ジェイコブ・S・ロジャーズが500万ドルもの財産をメトロポリタン美術館に寄付してくれたのです。
なんともアメリカらしい。これをきっかけに、富豪の間で、芸術品を購入し、寄付する点数が増えてきました。
リーマンショックで有名なリーマンブラザーズの経営者ロバート・リーマンも、ルノワール、レンブラント、ゴヤなど、多くの名画を提供しています。
20世紀の覇権国にふさわしく、メトロポリタン美術館は今では300万点以上の所蔵品を抱える、質と量ともに最高クラスの美術館となりました。
フェルメールファン必見の美術館
メトロポリタン美術館では、5点ものフェルメール作品をみることができます。フェルメールといえば、全作品が三十数点しかなく、作品数が少ないことでも有名です。
そのうちの5点が一つの美術館に集まっているなんて、フェルメールファンにはたまらない美術館でしょう。
しかも、この5点は寄付されたものらしいです。なんとも景気の良い話じゃないですか。
日本でもフェルメール展はたまに開催されますが、それらはすべて貸し出し可能な絵画だけです。
メトロポリタン美術館には門外不出のフェルメール作品があり、それは、メトロポリタン美術館でしかみられない秘宝となっています。
疑似美術館巡りをしてみませんか?
まだまだ残り8つの美術館も個性的なものばかりで、どれも読んだら楽しいこと間違いありません。
こんなご時世だからこそ、おうちで世界の美術館巡り(疑似)をしてみませんか。
そして、いつか実際に自分の目でこれら名画をみれる日が早く訪れることを祈っています。