2022年の大河ドラマは『鎌倉殿の13人』
2022年の大河ドラマのタイトルは『鎌倉殿の13人』
小栗旬演じる北条義時が13人の御家人同士のサバイバルを生き残り権力掌握するまでを描くそうだ。
そして本書のタイトルは『鎌倉殿と執権北条130年史』
大河ドラマの主人公、北条義時の父、北条時政〜鎌倉幕府最後の執権、北条高時までの130年を描いている。
これまで北条氏を中心に描いてきた本は余るほどあった。
本書が新しいのは、北条氏の歴史をたどりながらも、北条氏に排斥された御家人側の視点を同時に描くことで、より客観的に鎌倉時代を辿れる点にある。
ドラマでは、御家人同士での争いが描かれるわけだが、各御家人の詳細まで知れる本は貴重である。
文庫でここまで綺麗にまとまっている本も珍しいので、大河ドラマを楽しみにしている人にはとってもおすすめ一冊だ。
鎌倉殿と13人の御家人
頼朝亡き後、跡を継いだのは嫡男の頼家であった。そんな若き将軍を支えた有力御家人13人が以下のメンバーだ。
- 北条時政
- 北条義時
- 大江広元
- 三善善信
- 中原親能
- 三善義澄
- 八田知家
- 和田義盛
- 比企能員
- 安達盛長
- 足立遠元
- 梶原景時
- 二階堂行政
北条氏だけ2人いるのがわかると思う。姉の政子が頼朝の妻なのでこれくらいのえこひいきはあるのだろう。
実はこの中には京都で活躍していた官僚のような人たちもいる。その筆頭が大江広元である。
また頼朝挙兵以来、共に過ごしてきた武将たちも13人に名を連ねている。
圧倒的なカリスマ頼朝がいた際には、うまくまとまっていたチーム鎌倉も、カリスマ退場後は、不穏な空気になっていく。
当時は乳母の影響力がとても強かった。
なぜならば、乳母の下で、乳母の子供と共に育てられるので、乳母の影響力はすごかったのだ。
現に、頼朝の息子(頼家)の乳母の夫が比企能員で、彼の娘と頼家は結婚して息子をもうけた。
こうすると将軍の外祖父として比企能員の力がとても強くなる。
北条グループで掌握していた将軍家の血縁が、比企グループになってしまう恐れがあり、ここから北条氏の暗躍がはじまる。
さいごに
鎌倉時代とは、頼朝挙兵以来、功績のあった御家人たちと、北条氏の権力闘争の様相であった。
教科書では一行でしか書かれない敗者側の記述がたっぷりで、理解が深まる良い本だ。
御家人だけでなく、承久の乱を経て王家や公家への影響力を高め、元寇を経て非御家人に対しての支配力も高めていった北条氏。
そんな北条氏の歴史を辿れる興味深いのが本書である。
大河ドラマをもっと知りたい人にはすごくおすすめの一冊だ。