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【書評】『フランス文学は役に立つ!』文学が照らし出す日本社会
「これはマズい本に出会ってしまった・・・」そして読了後にそっとスマホを取り出してポチる。類は友を呼ぶが、面白い本は本を呼ぶのだ。いやしかし、文学について一切知らないのにここまで心動かされるのは単純にフランス文学が面白いからなのだろう。
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【書評】『老年について』人生100年時代に考える!齢を重ねることのメリットとは?
リンダ・グラットン教授が『ライフ・シフト』で衝撃的な発表をした。「人生100年時代」。かつて人類が体験したことのない超長寿社会が訪れると指摘する。始皇帝は晩年、不老不死の仙薬を求めて、世界中に使者を派遣した。
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【書評】『友情について』ローマの賢人が説く友情のすばらしさ
友情をテーマに描いた作品は古来よりあったが、死をセットに伴うものであった。『イーリアス』では、親友パトロクロスの死を悲しみ、友の復讐に燃えるアキレウスが描かれた。さらに遡れば、『ギルガメッシュ叙事詩』にもギルガメッシュとエンキドゥとの友情とエンキドゥの死と永遠の命を求めての旅が描かれている。
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【書評】『地中海世界 ギリシア・ローマの歴史』西洋文明の母胎たる地中海世界を知る
地中海世界をテーマに語るのが本書であるが、地中海世界とは錬成釜のようなものである。エジプト、メソポタミア、ギリシア、ローマの文化が地中海という釜に流れこみ、ミックスされて地中海世界は誕生した。地中海世界の最終形態がローマ帝国であり、そのローマ帝国が滅んだのちに、ラテン的ゲルマン世界、ギリシア的スラブ的世界、オリエント的アラブ的世界が生み出された。
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『獅子心王リチャード一世』パワータイプのドン・キホーテ
イギリス王にも関わらず、イギリスに滞在したのはわずか5ヶ月ほどで治世のほとんどを国外で過ごしました。彼はいったいどんな人だったのでしょうか。一言であらわすと、「戦闘力高いドン・キホーテ」といえるでしょう。
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【書評】『職業としての政治』政治家に読んでもらいたい本No.1
2021/8/16 マックス・ヴェーバー, 暴力, 権力感情
ヨーロッパ文明を破滅へと導いた第一次世界大戦は1918年11月11日に停戦となった。第一次世界大戦の清算としてのヴェルサイユ条約が調印されたのが1919年6月28日。本書は熱烈なナショナリストであったヴェーバーが学生団体の誘いに応じて行った150人規模のホールでの講演録である。
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【書評】『天皇と儒教思想 伝統はいかに創られたのか?』
2016年に今上上皇が国民に向けた「お気持ち」表明は、皇室典範の改定や生前譲位などの天皇の伝統に目を向けるきっかけとなった。その際、一部の論者によって、伝統的な天皇像が取り上げられ、「古来そうだったのだから変えてはならない」と改変にブレーキをかけることとなった。