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コツコツ読み解くアダム・スミスの『国富論』PART1

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お久しぶりです!おくでぃです。いよいよ、あの大著『国富論』に挑みたいと思います。

おくでぃ

 

なぜ読むのか?

世の中を理解するために必要な古典

私は元ライフネット生命の創業者出口治明さんを尊敬しているのですが、出口さんが世の中を理解するために必要な古典として挙げているのが、『国富論』です。

マルクスの『資本論』は読んだので、次はアダム・スミスだろうと。

コツコツと読んでいく

約700Pの本を三冊分という恐ろしいボリュームの本書。一人で読んでも絶対挫折するので、各章ごとに簡単にブログにまとめながら、コツコツ読みすすめられればと思います。

それではさっそく行きましょう!!

第一篇 第一章「分業について」

VIVA!分業!

仕事を一人でこなすのには限界があります。大半の仕事は分業されていることでしょう。仕事を切り分けて、それを各人が担当し一つの物事を成し遂げる。

このように分業は労働の生産性を増進させる最大の要因となりました。なぜ、分業が生産性をあげるのか?

それは分業の結果、各人は割り当てられた仕事だけに特化できるので、熟練度が増すからです。

分業が如何に素晴らしいか。かの有名なピンの例が早速出てきます。

ピン作りの仕事

ピン作りに慣れていない職人は一人では一日に一本のピンすら完成できません。ところが、分業をすることで一日に大量のピンをつくることができます。

一人目:針金を引き伸ばす人

二人目:針金をまっすぐに整える人

3人目:針金を切る人

4人目:針金をとがらせる人

5人目:針金の先端を磨く人  など

その他にもピンの頭部をつくったり、磨いたり、袋に包んだりと様々なタスクに分けることができ、それぞれ別々の人が担当します。

一人で全部やる以上に、分業によって生産性が上がるので、ますます仕事は分化していきました。

なぜ分業が生産性を上げるのか?

生産性を高める理由としてアダム・スミスは3つ挙げています。

  1. 職人の技術スキル向上
  2. タスク切り替えコストの節約
  3. 機械の導入

職人の技術スキル向上

分業されることで職人の守備範囲は狭くなるので、その分野についての知識や経験がたまり、生産性が向上します。

大企業では仕事が分化されており、人事部は人事、経理部は経理をと分業できているため、専門性が増します。

他者より秀でた何かが他者との比較優位になり、それで分化された仕事を任せられて、仕事をすることで賃金を稼ぐ。

おくでぃ

現代社会にも通じる大事なポイントかと思います。

タスク切り替えコストの節約

例えば、料理をしていたあとに、お風呂掃除をする。このようにタスクを切り替える際には、場所を移動したり、道具を持ち直したりしなければならないので切り替えコストがかかります。

面白いことにアダム・スミスは働く人のメンタル面もこう指摘しています。

アダム・スミス

人間は新しい仕事を始めた当座は、ひどく熱中して打ちこむ気持ちになかなかなれない。

よくいわれるように、気がのってこないので、しばらくのあいだは、かれは十分な能率をあげるというよりも、むしろ時間を空費するといったほうがいい。

作業の途中で電話が入ったりすると集中力を取り戻すのに時間かかりますもんね。この時代から指摘してたのすごい!

機械の導入

生産性向上の代名詞:マシーン!です。これまで熟練した職人しかできなかった仕事も機械さえ扱えれば、未熟練労働者でも同じ成果物ができてしまうのです。

機械が生産性を上げるのは自明のこととして、アダム・スミスは、分業のおかげで機械が誕生したと述べています。

どういうことかというと、分業することで、意識をすべて目の前のタスクに集中できます。するともっと楽な方法はないか、思いを巡らした結果、仕事を改善していき、より楽になるように発明したのが機械なのです。

世の中は誰かの仕事でできている

最後に、分業から富は生まれて、幅広い民衆にまで恩恵が行き渡っている様子をアダム・スミスは描きます。

農村の日雇労働者が着ている毛織物を例にあげてみましょう。

彼らの決して上等ではない衣服も、牧羊者、羊毛の選別工、梳毛工、染色工、あら梳き工、紡績工、織布工、縮絨工、仕上工、その他多くの人々の協力があってできています。

それだけではありません。原料をつくる人もいるし、原料を現地から加工地まで輸送する人もいます。海運ならば、その船をつくる人も必要となります。

このように私達が手にしている物品は、目には見えないですが、多くの人々の結合労働の生産物なのです。

アダム・スミス

文明国の最も下層の者にたいしてさえ、何千人という多数の助力と共同がなければ、手軽で単純な様式だとわれわれが誤って想像しているような普通の暮しぶりすらととのえてやることができない、とわかるだろう。

何気なく送っている生活も、膨大な人たちの仕事で支えられているんだなと気付かせてくれる素敵な章でした。

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おくでぃ

▶︎ 数千冊の本に埋もれてる積読家 ▶︎ 古今東西の歴史が好き ▶︎ まれに読書会主催 ▶︎ 餃子が好き ▶︎ HONZのレビュアーになるのが夢

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