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【書評】『ドレの神曲』ドレが誘う地獄ツアー

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スーパースターのコラボ

コラボレーションはいつもファンをワクワクさせてくれる。

ブランドでは別注としてよくコラボレーションしているし、ミュージシャン同士のコラボレーションも珍しくはない。

コラボレーションはソロでは出せない感動を与えてくれるものだ。

本書は、詩聖と評されたダンテの『神曲』と、イラストレーター・ドレのコラボ作品となっている。

『神曲』は全3冊と長編作品で、ダンテ本人が、師匠ヴェルギリウスに導かれて、地獄→煉獄→天国と冥界ツアーを行う不思議な作品である。

文字だけだとイメージしにくい冥界の様子を、ドレの挿絵が描写してくれ、理解を助けてくれる。

134点とたっぷりと挿絵を収録し、ダンテの『神曲』の入門本としてはおすすめの一冊だ。

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永久追放されたダンテ

本書の作者ダンテはどんな人物だったのだろうか。簡単に説明しよう。

七〇〇年以上前のフィレンツェの人で、温暖な気候にも恵まれ、商業、貿易の中心地としてヨーロッパ中の富が集まる春を謳歌した時代を過ごした。

しかし、豊かな富は争いをもたらす。

「白派」と「黒派」に分かれて対立し、「白派」のリーダーの一人だったダンテは政争に破れ、永久追放の憂き目にあう。

いくあてもない放浪の旅を余儀なくされたダンテがみた不思議な物語が『神曲』だ。

ダンテは無意識のまま歩き続け、深い森の中にいることにハッと気が付く。

そんな場面を描いたドレの挿絵がこちら

森のダンテ

気がつけば人生は半ば

見わたせば暗き森深く

道らしき道のひとつすら無く

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地獄の渡し守カロン

地獄の門を潜ったダンテの前に現れたのは、大きな川だった。日本でいうところの三途の川。

すると向こうから、銀髪の老人がものすごいスピードで怒鳴りながら、こちらへ向かってきた。

そんなシーンを描いたのがこちら

カロン

ドレの挿絵のタッチが地獄にマッチしていて本当に良い!

実際にダンテ視点に立って読者が追体験できるような仕掛けになっている。

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さいごに

小説をたくさん読んでいる方ならば、想像力が鍛えられているので補えるのだろうが、私のようなビギナーには難しい。

そこで視覚革命を起こしたドレの挿絵が補助輪となり、ダンテの『神曲』の一部を体験できるのが本書の魅力。

原著に挑んで挫折した人には、敗者復活戦となってくれるだろう一冊だ。

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おくでぃ

▶︎ 数千冊の本に埋もれてる積読家 ▶︎ 古今東西の歴史が好き ▶︎ まれに読書会主催 ▶︎ 餃子が好き ▶︎ HONZのレビュアーになるのが夢

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