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【書評】『地中海世界 ギリシア・ローマの歴史』西洋文明の母胎たる地中海世界を知る
地中海世界をテーマに語るのが本書であるが、地中海世界とは錬成釜のようなものである。エジプト、メソポタミア、ギリシア、ローマの文化が地中海という釜に流れこみ、ミックスされて地中海世界は誕生した。地中海世界の最終形態がローマ帝国であり、そのローマ帝国が滅んだのちに、ラテン的ゲルマン世界、ギリシア的スラブ的世界、オリエント的アラブ的世界が生み出された。
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『獅子心王リチャード一世』パワータイプのドン・キホーテ
イギリス王にも関わらず、イギリスに滞在したのはわずか5ヶ月ほどで治世のほとんどを国外で過ごしました。彼はいったいどんな人だったのでしょうか。一言であらわすと、「戦闘力高いドン・キホーテ」といえるでしょう。
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【書評】『職業としての政治』政治家に読んでもらいたい本No.1
2021/8/16 マックス・ヴェーバー, 暴力, 権力感情
ヨーロッパ文明を破滅へと導いた第一次世界大戦は1918年11月11日に停戦となった。第一次世界大戦の清算としてのヴェルサイユ条約が調印されたのが1919年6月28日。本書は熱烈なナショナリストであったヴェーバーが学生団体の誘いに応じて行った150人規模のホールでの講演録である。
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【書評】『天皇と儒教思想 伝統はいかに創られたのか?』
2016年に今上上皇が国民に向けた「お気持ち」表明は、皇室典範の改定や生前譲位などの天皇の伝統に目を向けるきっかけとなった。その際、一部の論者によって、伝統的な天皇像が取り上げられ、「古来そうだったのだから変えてはならない」と改変にブレーキをかけることとなった。
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【書評】『自由の思想史: 市場とデモクラシーは擁護できるか』「自由」その二文字に恋い焦がれて
「自由は好きですか?」
こんなのは愚問であろう。ほとんどの人が「好き」と答えるに違いない。「自由」は老若男女問わず人気だが、100%の自由と言われたらどうだろうか。仕事をしていると「永遠の夏休み」に恋い焦がれることがある。
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【書評】『誰がアパレルを殺すのか』アパレル業界を衰退させた"犯人"はだれ?
「そういえば最近服を買っていない」「服はユニクロでいい」こういう友人が多い。他に漏れず、私自身も昔はブランド服に身を包んでいい気分に浸っていたが、いまやユニクロでいいと思っている。
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【書評】『ウェルギリウス『アエネーイス』―神話が語るヨーロッパ世界の原点 (書物誕生―あたらしい古典入門)』
2002年にノルウェーの団体が世界54カ国の著名な作家100人の投票によって選んだ「史上トップ100のフィクション作品」を発表した。そこで、ホメロス、ソポクレス、エウリピデス、オウィディウスと並んで、著者のウェルギリウスもランクインしている。