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【書評】『ラ・フォンテーヌ寓話』人生の教訓をかわいい動物たちに学ぶ

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ラ・フォンテーヌ

ダチョウ倶楽部のようなフランス人

突然だが、次のようなシチュエーションを思い浮かべてほしい。

世界中の人を乗せた豪華客船が今まさに沈没しそうになっている。

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そこで船長は各国の乗客を海へ飛び込ませるために、それぞれの国ごとに言葉を使い分けた。

アメリカ人へは「飛び込めばヒーローになれますよ」

日本人へは「みなさん既に飛び込みましたよ」

イタリア人には「飛び込めば美女にモテますよ」

では、フランス人はどうだろうか?

フランス人には「絶対に海に飛び込まないでください」

これでフランス人は海へ飛び込むという有名なジョークがある。

キツネとぶどう

まるでダチョウ倶楽部みたいではないか。フランス人はなぜか逆のことをしたがる傾向にあるらしい。

さらに、ある寓話を紹介しよう。

あるとき、空腹にさらされたキツネがいた。上を見上げるとぶどう棚があるではないか。

さっそく、手を伸ばして、美味しそうなぶどうを取ろうとするキツネ。

しかし、どうにも手は届かない。

そこでキツネはこう言い放った。

「あれはまだ青すぎる。卑しいものが食べるものに違いない」

負け惜しみ力

寓話ならば、届かないものを何とか手に入れるように努力したりしそうなものである。

だが、ラ・フォンテーヌの寓話はパンチが効いている。

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手に入らないものは、大したものではないと価値を下げ、心の平静さを保つのだ。

これを負け惜しみという者もいるだろうが、これくらいのスタンスで望むことは大事だったりする。

フランスの小学校では、ラ・フォンテーヌの寓話を題材に作文など書かせたりしている。

若い頃から、ラ・フォンテーヌのピリッとくる寓話に慣れ親しんでいたら、ストレス耐性つくのもわかる気がする。

かわいく繊細な挿絵が神がかってる

本書はラ・フォンテーヌの寓話から一部を抜粋し、挿絵画家の可愛らしい絵をたっぷりと使った寓話集である。

願わくば、すべての寓話に挿絵を入れてほしい。そう思うほどクオリティが高い。

日本人にもお馴染みの寓話もあり、気を楽にして読める良書だ。

 

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おくでぃ

▶︎ 数千冊の本に埋もれてる積読家 ▶︎ 古今東西の歴史が好き ▶︎ まれに読書会主催 ▶︎ 餃子が好き ▶︎ HONZのレビュアーになるのが夢

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